■公的年金制度とは
日本には「公的年金制度」があります。
これは、現在働いている世代が保険料を納め、そのお金で引退した高齢者の生活を支える仕組みです。
公的年金の対象者は、20歳から60歳までの、日本に住所があるすべての方です。
そのため、海外から来た外国人の方であっても、役所で住民登録(住所登録)を行った時点で、
年金保険料を支払う義務が発生します。
日本の公的年金制度には、大きく分けて次の2種類があります。
国民年金 と 厚生年金 です。

■国民年金とは
国民年金は、公的年金制度の「基礎」となる制度です。
原則としてすべての方が対象となり、月額17,500円(2026年1月現在)
の保険料を納める必要があります。
国民年金の手続きや相談窓口は、お住まいの市区町村役所です。
■厚生年金とは
厚生年金は、会社で働く人が加入する年金制度です。
国民年金と違い、会社が手続きの窓口となります。
外国人の方の場合、毎月の給与から自動的に天引きされているため、
「年金を払っている」という実感がないことも多いですが
原則として会社が必ず給与から差し引き、納付しています。
これは、年金保険料の支払い責任が会社にもあるためです。
厚生年金の保険料は、給与額に応じて決まります。
計算された保険料は、会社が半分、本人が半分を負担しています。
なお、厚生年金に加入している期間は、国民年金を別途支払う必要はありません。
■年金を未納するとどうなるか
公的年金制度は、日本で生活するうえでの義務です。
正当な理由なく未納の状態が続くと、在留資格の更新や変更が許可されない可能性があります。
さらに、2027年6月以降は、年金の滞納情報が自動的に出入国在留管理庁と連動されることが決定しています。
未納が判明した場合、解消しない限り在留許可が下りない可能性があります。
■知らないうちに未納になってしまうケース①
<入国直後に就職した場合>
日本に入国してすぐ働き始めた場合、国民年金が未納になってしまうケースがあります。
例:7月30日:日本に入国し、役所で転入届(住所登録)を提出
8月1日:会社に入社し、厚生年金に加入
この場合、7月30日に住所登録をした時点で、国民年金の支払い義務が発生します。
そのため、たった2日間であっても、**7月分の国民年金(1か月分)**の請求書が届いてしまうのです。
<対処方法>
このケースでは、次のいずれかの方法で対応できます。
① 住民登録時に免除申請を行う方法
役所で住民登録をする際に、
「すぐに厚生年金に加入するので、国民年金の免除手続きをお願いします」
と伝え、免除申請を同時に行います。
この方法なら、後から請求書が届くことはありません。
② 請求書が届いた後に免除申請をする方法
すでに請求書が届いてしまった場合は、最寄りの年金事務所へ連絡し、
「国民年金の免除申請書を送ってほしい」と伝えます。
申請書を提出し、審査の結果、免除が認められる場合があります。
仕事を始めたばかりの時期に、月17,500円の支払いは大きな負担です。
書類はすべて日本語のため、受入企業や登録支援機関、送出機関によるフォローが重要です。
■知らないうちに未納になってしまうケース②
<退職・転職による切り替え忘れ>
次に多いのが、厚生年金から国民年金への切り替えを忘れてしまうケースです。
外国人の方の多くは、年金制度や雇用保険の仕組みを十分に理解していません。
公的年金制度では、働いておらず収入がない期間は、免除申請が可能です。
転職のために退職し、すぐ次の会社が決まっている場合は、新しい住所地の役所で
「この期間は働いていなかったため、免除の手続きをお願いします」
と申請すれば問題ありません。
しかし、この手続きを忘れると、後から免除申請をする際に、
離職票や雇用保険受給資格者証など、無職だったことを証明する書類が必要になります。
また、転職の合間に「1か月ほど母国に帰国する」という方も多く見られます。
在留カードを持ったまま住所も残している場合、日本に戻った後に国民年金の請求書が届き、驚くケースがあります。
<対処方法>
最も大切なのは、退職時に必ず「離職票」を受け取り、保管しておくことです。
後から免除申請をする際に、非常に重要な書類になります。
なお、年金で使われる基礎年金番号は一人につき一つで、一生変わりません。
そのため、一度日本で住所登録をすると、過去に未納となっている国民年金の請求が、後から届く仕組みになっています。
■最後に
年金、健康保険、税金などの支払い義務は、日本人・外国人を問わず、すべての人に共通です。
外国人の方にとっては、制度を十分に理解しないまま、支払いだけを求められていると感じることもあるでしょう。
しかし、制度を正しく理解すれば、免除や猶予を受けられる場合もあります。
すべてを理解できなくても、困ったときに相談できる相手がいることが何より大切です。
友人同士の噂話ではなく、制度を理解している人に相談することが、トラブルを防ぐ最善の方法です。